SEED STOCK MAGAZINE

観葉植物にコバエがわく原因と対策を徹底解説

観賞植物を育てていると、毎日の成長や季節の変化を感じられて楽しいものです。

だからこそ、コバエがわいているのを発見するとショックですよね。

鉢植えの土や水やり、室内環境など、コバエが発生する原因は様々です。

1つひとつの原因をなくして、成虫や幼虫・卵を駆除して対策すれば、発生しにくい環境を作れます。

この記事では、観葉植物にコバエがわく原因と対策を詳しく解説します。

お部屋の植物や環境に合わせて、ぜひ試してみてください。

観葉植物に発生するコバエとは

観葉植物に発生するコバエは、多くの場合「キノコバエ」です。

有機物を含んだ湿った土に発生しやすいため、観葉植物の鉢にはよく見られます。

体長2〜4ミリほどで、黒または暗褐色の細長い羽虫です。

成虫が植物そのものに被害を与えることは少ないですが、土の中で孵化した幼虫は細くて柔らかい根を食べてしまいます。

気温25〜30℃程度、湿度60%の環境で最も活発になるため、「少し蒸し暑いけれど、まだ過ごしやすい季節だな」と感じる頃は要注意です。

また、キッチンで発生しやすいショウジョウバエも観葉植物に寄ってくる場合があります。

植物そのものへの影響はほとんどありませんが、室内環境のためにもきちんと対策しておくとよいでしょう。

観葉植物にコバエが発生する原因

コバエが発生しても、原因がわからないと対処しにくいですよね。ここでは、4つの主な原因を解説します。ご自分の観葉植物やお部屋と照らし合わせ、チェックしてみてください。

土壌や肥料

コバエは、土に含まれている有機物や栄養分に引き寄せられます。

特に観葉植物用の培養土は、ピートモスや腐葉土、堆肥などの有機肥料が豊富に含まれています。

有機物が分解される過程で腐敗臭や栄養分が発生するため、コバエが集まりやすいです。

化学肥料であっても、与えすぎると土壌内の栄養分の分解速度が加速するため腐敗臭やガスが発生します。

鉢植えの植物は土の中の養分が限られているため、肥料そのものは欠かせません。

肥料の種類や量に気をつけて、余分な栄養素や腐敗臭が発生しないようにしましょう。

また、何度も繰り返し使っている土は、既にコバエの卵や幼虫を含んでいる場合もあります。

古い土を再利用する場合は1度天日干しして、しっかり乾燥させたうえで植物を植えるとコバエ発生のリスクを減らせます。

水のやりすぎ

頻繁に水やりをしていると、湿った土を好むキノコバエが発生しやすくなります。

植物ごとに適切な水やりの頻度・量がありますが、コバエの発生を防ぐためにも過剰な水やりは控えましょう。

特に、表面の土が常に湿っているとコバエの卵が孵化しやすいです。

鉢植え上部の土が完全に乾いている状態を作るようにすると、コバエの繁殖を抑制できます。

場合によっては鉢内部の土まで乾き切ってから水をやるなど、植物の種類や季節ごとに水やりの頻度・量を調節してください。

鉢底の水

鉢の水はけが悪く、底に常に水が溜まっている状態もコバエが発生しやすいです。

鉢の中が常に湿っている状態だと有機物の腐敗が進みやすいため、腐敗臭やガスが発生してコバエも集まりやすくなります。

観葉植物を植える際は、鉢底に水はけ用の穴が開いているかどうか確認しましょう。

穴が開いた鉢の底に砂利を少し詰め、その上に土を入れて植物を植えると水はけがよくなります。

穴から出てくる水を受けるための鉢皿も準備しておきましょう。

底に穴がないタイプの鉢を使いたい場合は、鉢植えのカバーとして使うのもおすすめです。

水はけ用の穴がある一回り小さな鉢に植物を植え、穴のない鉢の中に入れると鉢皿の代わりになります。

中の鉢は定期的に取り出し、外側の鉢の手入れをしておくと安心です。

室内環境

コバエの発生しやすさは、観葉植物を置いている部屋の環境にも左右されます。

次の条件が複数当てはまる部屋は、コバエが集まりやすいです。

  • 季節問わず室温が高め
  • 湿度が高い、湿気がこもりやすい
  • 風通しが悪く、空気が入れ替わらない
  • 日光があまり当たらない

一般の住宅やマンション・アパートで上記の条件が揃いやすいのは、キッチンや浴室付近です。

湿気を好む観葉植物もありますが、コバエの発生をできるだけ抑えたい場合は他の部屋に置くのが無難でしょう。

湿度や通気性、日当たりなどには、部屋の位置や構造そのものが関係します。

しかし、換気扇の稼働時間を長くしたり、除湿剤や除湿器の導入、定期的に窓を開けるなどの対策でコバエの発生を抑えることが可能です。

コバエの駆除方法と対策

コバエが発生している原因がわかったら、成虫や幼虫・卵をしっかり駆除したうえで再発防止の対策をしましょう。市販のアイテムで簡単にできる駆除・対策をご紹介します。

ハエ取りシートなどのコバエ取りグッズや殺虫剤を使う

観葉植物に集まるコバエの駆除には、市販のコバエ取りグッズや殺虫剤を使うのが確実です。

粘着タイプのコバエ取りグッズには、化学殺虫成分を使わずに粘着剤のみでコバエを取る製品も多いです。

小さいお子さまやペットがいるご家庭のように、スプレータイプの殺虫剤やハエ取りポットを使いづらい場合に特におすすめです。

ハエ取りシートは、壁に吊るすタイプや片隅に立てて置くタイプなど様々な形があるためお好みのものを選べます。

さらに、粘着タイプのコバエ取りグッズには観葉植物が植えられている土に差し込んで使える製品もあります。

このタイプは土の中で孵化したコバエも捕まえやすいため、植物に集まるコバエが多い場合にぴったりです。

殺虫剤のメリットは即効性の高さです。コバエや観葉植物そのものに吹き付ける殺虫スプレーや、土に混ぜ込んで卵・幼虫を駆除するタイプがあります。

ただし、使用方法や注意事項は製品によって異なります。例えば、スプレータイプの殺虫剤はコバエだけに吹き付けるもの、空間全体にスプレーできるもの、植物に薬剤をかけられるものなど様々です。

「植物への噴射はNG」の製品も多いので、使用方法をしっかり確認したうえで適切に使ってください。

土の表面に砂や軽石を敷く

観葉植物を植えたら、土の上に砂や砂利、軽石などを敷くとコバエの発生を防げます。

土に卵を産みつけられないため、コバエが集まっても繁殖できないためです。

地植え・鉢植えに限らず、植物の株元をカバーする素材を「マルチング材」といいます。

コバエ防止に役立つマルチング材は、例えば次のものです。

  • 化粧石・軽石
  • パーライト
  • くるみの殻
  • ヒノキ・スギなどのウッドチップ

ほかにも多様なマルチング材がありますが、材質によっては鉢内に湿気が溜まりやすくなりかえってコバエの発生をうながしてしまいます。

上に挙げたマルチング材は、通気性がよく害虫予防の観点からもおすすめです。

マルチングには、保湿・霜よけ効果や水・土の飛び散り防止など、コバエ防止以外にもメリットがあります。

また、インテリアに合わせてマルチング材を選ぶのも楽しいです。観葉植物を植える際は、ぜひマルチング材の導入も検討してみてください。

定期的に土の表面を乾燥させる

コバエの卵や幼虫は、乾燥した土壌では育ちにくいです。定期的に土の表面をしっかり乾燥させると、コバエの繁殖を防げます。

水やりの頻度調整については先に述べましたが、土を乾燥させるには乾燥剤の使用もおすすめです。

珪藻土やシリカゲルのように水分を吸収する素材を土の上に少し撒いておくと、表面を乾燥させられます。

乾物や海苔に封入されている食品用乾燥剤を活用している方も多いですが、石灰乾燥剤の場合は土の乾燥には使えません。

生石灰は水分に触れると発熱・発火する性質をもつため、火傷や火災に発展する恐れもあります。

また、吸湿して「消石灰」となった乾燥剤を土に撒くのは、土壌成分を中和するためです。

珪藻土やシリカゲルの主成分は「二酸化ケイ素(SiO2)」で、人体や植物への影響はほとんどありません。

シリカゲルは、食品用乾燥剤としても使用されています。乾燥材を再利用したい場合は、小袋の表記をチェックしてみてください。

土の乾燥度合いを調べるには、直接触れるだけでなく割り箸を利用するのもおすすめです。

割り箸を土に差し込んで湿り具合を見てみると、どのあたりまで水分が残っているかわかります。

コバエが卵を産むのは、土の表面から3~4センチ程度です。この深さまでしっかり乾燥しているのを確認して水やりをすると、コバエが繁殖しづらい状態を保てます。

木酢液やハッカ油を吹きかける

できるだけ化学薬品を使いたくない場合は、自然由来のコバエ防止剤の活用もおすすめです。

木酢液やハッカ油、ニームオイルなどを水で薄め、観葉植物や土にスプレーするとコバエが集まりにくくなります。

木酢液とは、木炭を作る際に生じた水蒸気を冷却した液です。コバエは炭の香りを嫌うため、数日おきにスプレーしておくと寄り付かなくなります。

有機物やビタミン、ミネラルなど200種類以上もの成分が含まれているため、植物の生育にも役立ちます。

木酢液の原液は強酸性なので、スプレーする際は100倍以上の水で薄めてください。

また、人によっては炭の香りが気になることもあります。屋外でスプレーして数時間日に当てた後、室内に戻すとよいでしょう。

ハッカ油やニームオイルの強い香りも、コバエを集まりにくくしてくれます。

ただし、ニームオイルそのものは独特な香りをもつため、室内で使うのに抵抗があるかもしれません。

市販のニームオイルの中には、レモングラスやシトラスなどをブレンドして独特な香りを軽減した製品もあるので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

観葉植物にコバエがわく原因と対策を解説しました。

大切に育ててきた観葉植物にコバエがわくとショックですが、環境を整えてしっかり対策すれば再発を防げます。

植物のためだけでなく、部屋で過ごす人たちにも心地よい環境が作れるはずです。

ぜひ、コバエによるストレスのない観葉植物との暮らしを楽しんでください。

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