SEED STOCK MAGAZINE

観葉植物の増やし方を解説!挿し木や葉挿しのやり方や管理方法

観葉植物を増やすことは難しいと思われがちですが、方法さえ知っておけば初心者でも簡単に増やせます。

観葉植物の種類により最適な増やし方や時期は異なるため、事前に確認しておきましょう。

この記事では、観葉植物の増やし方の中でも一般的な挿し木と葉挿しについて徹底解説しているので、参考にしてください。

観葉植物は初心者でも簡単に増やせます

観葉植物を増やすためには種から育てる必要があると思われがちですが、手持ちの観葉植物の枝や葉を使用すれば簡単に増やすことが可能です。

枝や葉を使用して観葉植物を増やす方法は挿し木と呼ばれており、枝や茎を使用する方法を挿し木(芽挿し)、葉を使用する方法を葉挿しといいます。

挿し木で観葉植物を増やせる理由は、枝や葉には根としても成長できる細胞が存在しており、適切に挿し木を行うことで細胞が活性化するからです。

種から観葉植物を育てるよりも短期間で苗を増やせるため、効率よく観葉植物を増やしたい方には挿し木をおすすめします。

ただし、レアな模様の葉を持つ観葉植物の場合、挿し木で増やした観葉植物には同じ模様が出てこないケースも多く見られる点に注意が必要です。

挿し木を行う際に必要なもの

挿し木を行う際に必要なものは、次のとおりです。

  • 無菌状態の清潔な土
  • ハサミ
  • じょうろや霧吹き
  • 小さめの植木鉢
  • 発根促進剤
  • 鉢底網
  • 鉢底石

おすすめの土は、バーミキュライト・赤玉土・鹿沼土・挿し木用の土などです。

ハサミは切れ味が良く、清潔なものを用意しましょう。

切れ味の悪いハサミを使用すると、切断面が潰れてしまい発根しにくくなります。

じょうろは水圧の優しいタイプのものがおすすめです。

水圧の強すぎるじょうろで水やりをすると、葉の表面や土がえぐれてしまい、根を傷める恐れがあります。

挿し木(芽挿し)の方法

挿し木で観葉植物を増やす手順は、次のとおりです。

  1. 枝をカットする
  2. 挿し穂を作る
  3. 土に挿し穂を挿す
  4. 発根を待つ
  5. 大きくなってきたら植え替えをする

挿し木で観葉植物を増やす場合、水挿しで増やす方法もあるため、あわせて解説します。

手順①枝をカットする

まずは、挿し木にする枝を選び、5〜10cmほどの長さでカットしましょう。

おすすめの枝は、新芽が3〜4枚ほどついている元気な枝です。

節のすぐ上で枝をカットすると、発根しやすい傾向にあります。

手順②挿し穂を作る

枝をカットしたら、挿し木に使用するための挿し穂を作りましょう。

カットした枝に茶色くなった古い部分がある場合は、切り取ってください。

挿し穂の葉は2〜3枚だけ残し、切り口から3~5cmほどの箇所についた下葉は取り除きます。

葉を減らす理由は、葉から水分が出ていきすぎてしまい、乾燥で枯れることを防ぐためです。

挿し穂の葉が大きい場合は、ハサミを使い1/2〜1/3の大きさにカットしましょう。

カットした枝の断面は斜めにカットし、1時間ほど水に浸けておきます。

ただし、断面を乾かさずに植えた場合、細菌が繁殖してしまい植物が枯れる危険性がある点に注意が必要です。

多肉植物をより安全に増やしたい場合は、枝をカットしたあとに風通しの良い明るい日陰で2〜3日ほど乾かしてから植えましょう。

手順③土に挿し穂を挿す

挿し穂の準備ができたら、土に挿し穂を挿しましょう。

まず、植木鉢に鉢底網を敷いて鉢底石を入れたら土を入れ、水をかけて土をしばらく落ち着かせます。

挿し穂を土に挿す際は、枝の断面から樹液が出てきていないか確認しましょう。

樹液が出ている場合は、土に挿す前に水で樹液を洗い流します。

あとは挿し穂の断面に発根促進剤を塗布し、土に挿すだけです。

挿し穂を挿したらすぐに水をたっぷりと与え、直射日光の当たらない明るい日陰で管理しましょう。

ただし、多肉植物の場合は乾いている方が良いため、発根するまでは水やりをしないでください。

手順④発根を待つ

挿し穂を土に挿したら、霧吹きでたまに水を与えながら発根を待ちましょう。

発根までにかかる期間は株や切り口の大きさにより異なりますが、早いものだと2〜3週間、一般的には3〜5週間ほどです。

多肉植物の場合は1か月以上発根しないものもあるため、焦らずに発根を待ちましょう。

手順⑤大きくなってきたら植え替えをする

発根後、観葉植物が大きくなってきたら、少しだけ大きめの植木鉢に植え替えましょう。

ただし、植木鉢が大きすぎると水やり後に土が乾燥せず、根腐れを起こす恐れがあるため注意してください。

観葉植物の植え替えは、新芽が3〜5枚ほどになったタイミングがおすすめです。

発根直後の根は繊細なため、植え替えの際は根が切れないように十分注意してください。

観葉植物の植え替え後は、日光に当てる時間を徐々に長くしましょう。

水挿しにする場合

挿し木で観葉植物を増やす場合、水挿しにする方法もあります。

水挿しにする場合は容器に水を入れ、下葉をカットした枝を挿しましょう。

カットした枝には、発根促進剤を塗布しておくことも大切です。

水挿しで観葉植物を増やす場合、水を毎日換える必要があります。

毎日の水換えが難しい場合でも、少なくとも2〜3日おきには水を換えてください。

管理場所は、直射日光の当たらない明るい日陰で問題ありません。

きちんと毎日水を換えていると、カットした部分から発根するため、根がしっかりと出てきたら土やハイドロカルチャーに植え替えましょう。

挿し木に向いている種類

挿し木に向いている観葉植物は、ドラセナ・モンステラなどです。

水挿しの場合は、ポトス・フィロデンドロンなども適しています。

多肉植物の場合は、プレクトランサス・リプサリスなどが挿し木向きです。

なお、他の葉挿しできる多肉植物の多くは、挿し木で増やしても問題ありません。

葉挿しの方法

葉挿しで観葉植物を増やす手順は、次のとおりです。

  1. 葉挿しに使う葉を準備する
  2. 葉を土に挿す
  3. 根が出てきたら水やりをする
  4. 大きくなってきたら植え替えをする

各ステップについて、詳しく解説します。

手順①葉挿しに使う葉を準備する

まずは、葉挿しに使用する葉を準備しましょう。

葉挿しに使用する葉は、元気でみずみずしさのあるものがおすすめです。

自然に落ちてしまった葉も使用できるため、多肉植物の葉が取れて落ちた場合は保管しておくと良いでしょう。

観葉植物から葉を慎重に取ったら、必要に応じて適当な大きさにカットします。

葉をカットする際は、上下がわからなくなることを防ぐためにも、ペンで印をつけておきましょう。

葉挿しに使用する葉を取ったら、風通しの良い明るい日陰に2〜3日置き、葉を乾燥させます。

葉に水分が残ったまま葉挿しを行うと、雑菌や細菌が繁殖する原因になるため、しっかりと乾燥させてください。

手順②葉を土に挿す

葉を十分に乾燥させたら、葉を土に挿します。

まずは、植木鉢に鉢底網を敷いて鉢底石を入れ、上から土を入れましょう。

土の準備ができたら、用意しておいた葉の下側を1/2〜1/3ほど土に挿します。

葉挿しを行う際、葉の上下が逆だと根が出ないため、上下を間違えないよう十分注意してください。

葉が小さすぎて土に挿せない場合は、土の上に寝かせるだけでも問題ありません。

葉を土に挿したら直射日光の当たらない明るい日陰に置き、新芽や根が出るまで水やりをせずに放置しましょう。

手順③根が出てきたら水やりをする

葉挿しを行うと、数週間から1か月ほどで葉から根が出てくるため、水やりを始めましょう。

観葉植物の種類や管理場所の温度によっては、1〜2週間ほどで新芽が出る場合もあります。

水やりを開始する際、土から出てしまっている根は土に埋めてください。

手順④大きくなってきたら植え替えをする

発根後、観葉植物が大きくなってきたら、少し大きめの鉢に植え替えましょう。

植え替え後は、日光に当てる時間を徐々に長くすることをおすすめします。

発根した葉は次第に乾燥していき最終的には枯れるため、発根後の枯れた葉は取り除きましょう。

葉挿しに向いている種類

葉挿しに向いている観葉植物は、アガベ・サンスベリア・ペペロミアなどの多肉植物です。

他には、エケベリア・ハオルチア・グラプトペタルム・パキフィツムなどの多肉植物も、葉挿しに向いています。

セダムやクラッスラも葉挿しできますが、挿し木の方がおすすめです。

管理方法

観葉植物を挿し木や葉挿しで増やす際は、管理方法も重要です。

具体的には、次の点に注意しましょう。

  • 観葉植物を増やすタイミングや時期
  • 温度管理
  • 保管場所
  • 水やりの頻度

観葉植物を増やす際の管理方法について、詳しく解説します。

観葉植物を増やすタイミングや時期

観葉植物を増やす時期は、成長期である5〜7月または9月頃がおすすめです。

寒い地域の場合は、6〜7月頃を目安にしましょう。

冬のような寒い時期は観葉植物の休眠期にあたるため、挿し木には適していません。

冬は観葉植物を無理に触らず、そっとしておきましょう。

例外として、多肉植物の場合は3〜5月または10〜12月の挿し木がおすすめです。

観葉植物を増やすタイミングですが、植え替え時は注意が必要です。

基本的に根っこを減らした分だけ枝を剪定するとバランスを保てます。剪定した枝を挿し木すると、効率的に植物を増やせます。

温度管理

多くの植物は、土の温度が20〜25℃のときに発根しやすい傾向にあります。

観葉植物の成長期である5〜7月または9月に挿し木を行う場合、温度管理に関しては過度に心配する必要はありません。

冬に挿し木を行う場合は室温を15℃以上に保ち、ヒーターや暖房を使用しましょう。

暖房を使用する際は、風が観葉植物に直接当たらないように注意してください。

ただし、秋冬は挿し木が発根しにくいため、温度管理をきちんとできる自信がない場合は成長期に挿し木を行いましょう。

5〜7月または9月に挿し木を行う場合、急な温度変化がないように注意していれば問題ありません。

管理場所を固定し、暖かい場所で挿し木を行いましょう。

保管場所

観葉植物の挿し木を行う際は、直射日光の当たらない明るい日陰に保管しましょう。

挿し木した枝や葉がぐらつかないことも大切なため、風が強すぎない場所を選んでください。

室内で保管する場合は、窓際のような明るい場所に置いても問題ありません。

ただし、レースのカーテン越しに日光が当たるようにしてください。

発根後は、徐々に日当たりの良い場所に移動させましょう。

水やりの頻度

観葉植物の挿し木を行う際は、水やりの頻度にも注意しましょう。

基本的には、土の表面が乾いたら水やりを行います。

注意点として、常に土が湿っている状態だと植物がなかなか発根しません。

しかし、乾燥している状態が長すぎても枯れてしまうため、水やりの適切なタイミングを見極める必要があります。

挿し木後の水やりは、土の中の水分がなくなりつつあるタイミングで行いましょう。

土壌水分計があると、土の中の水分量を簡単に測れるので便利です。

観葉植物を増やす際の注意点

観葉植物を挿し木で増やす際は、次の点に注意しましょう。

  • 使用する道具や土は殺菌する
  • 直射日光に注意する
  • 発根前に抜かない

それぞれ、詳しく解説します。

使用する道具や土は殺菌する

挿し木で観葉植物を増やす際は、使用する道具や土をきちんと殺菌しましょう。

雑菌が付着した道具や土を使用すると、観葉植物の切り口から雑菌が繁殖する恐れがあります。

せっかく挿し木をしても植物が育たない、枯れてしまったなどの事態にならないためにも、殺菌はきちんと行いましょう。

ハサミや道具は、熱湯消毒をした上でしっかりと乾燥させてから使用してください。

土は無菌状態のものを購入しておくと、殺菌の手間がないためおすすめです。

直射日光に注意する

挿し木で観葉植物を増やす際は、直射日光に当てないよう十分注意してください。

挿し木後の植物は水分の吸収量が少ないため、直射日光の当たる場所で保管すると、水分不足になったり乾燥して枯れてしまったりします。

挿し木後、発根するまでの間は、直射日光の当たらない明るい日陰で管理しましょう。

発根前に抜かない

挿し木で観葉植物を増やす際は、発根前に枝や葉を土から抜かないことも大切です。

発根前に土から抜いてしまうと、せっかく出始めていた細い根が切れてしまう恐れがあります。

新芽が出てきたら発根した合図のため、新芽が出るまでは待ちましょう。

発根にかかる期間は、早い場合は2〜3週間ほどで、通常は3〜5週間ほどです。

水挿しの場合は、1か月ほどで発根するケースが多い傾向にあります。

多肉植物の場合は、発根までに1か月以上かかるものもあるため、気長に待ちましょう。

まとめ

観葉植物は、挿し木で簡単に増やすことができます。

挿し木を行う際は、観葉植物の種類に合わせて挿し木または葉挿しを行いましょう。

挿し木できる観葉植物は、水挿しで増やすことも可能です。

挿し木をしたあとは、直射日光の当たらない明るい日陰で管理し、土の表面が乾いたら水やりを行いましょう。

ぜひ、本記事を参考に、挿し木で観葉植物を増やしてみてください。

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