みなさん初めまして、メタ√93(meta_root93)と申します。
これからこちらのメディアで定期的に執筆させて頂きますのでよろしくお願いします。
今回紹介する種はだいぶ面白いやつ
初めての記事ですが今回のお題はドルステニア・クスピダータです。
塊根を触ってる人なら、名前くらいは一度は見たことあると思うんですよ。
でも「じゃあ実生でちゃんと向き合ったことある?」って聞かれると、ちょっと間が空くやつ。
理由は単純。
分かりやすくないから。
有名だけど実生している人は少ない種
この種、親切じゃないんですよ。
・播いたらすぐ出る? → 出ない
・出たらそのまま成長? → 止まる
・そもそも動く? → 動かないことも普通
「初心者歓迎」みたいな顔、一切してません。
初心者向けか?いや、違うよね。
でもここを見てる人にとっては、「だからこそ面白い」完全にそっち側の種じゃないかな、と思います。
植物うんちく:ドルステニアは“塊根界の変化球”
ドルステニア属はイチジクの仲間のクワ科
ドルステニア属はクワ科。つまりイチジクの仲間なんです。
「え?塊根なのに?」
「サボテンじゃないの?」
「ユーフォルビアでもない?」
……全部違います。
どこにも属さない感じが、クセになる
ドルステニアって、
・サボテンでもない
・ユーフォルビアでもない
・アデニウムでもない
分類的にも性格的にも、見事にハブられてる感じ。
でもね、この「どこにも属さない感」、実生好きには刺さるんですよ。
言葉を選ばずに言うと、面倒くさいけど、面白い。
花序が変わっている植物
ドルステニアの花、正直「花」って言われてもピンと来ない。
円盤状の花序(ヒポディウム)を作って、そこで何をするかというと――
種を弾き飛ばす。
ドルステニアは自家射出型です。
鉢の中で突然、「パチン」って音がする。
で、
「あれ?」と思ったら、
種がどこかに消えてるんです。
初めて体験すると、
ちょっとテンション上がります。
実生好きなら、なおさら。
ただ同時に「管理めんどいやつだ」
とも思う。
クスピダータの性格:見た目はシャープ、中身は超スロースターター
ドルステニア・クスピダータは、
ドルステニア属の中では比較的コンパクト。
塊根の形も整いやすくて、
見た目だけ見ると、まあ優等生……なんだけど。
初動が本当に遅い

アデニウムとかパキポディウムの感覚で触ると、 ほぼ確実にズレます。
・播いた ・数日待った ・出ない
この時点で
「失敗かな?」
って思ったら、だいたい負け。
クスピダータは、
人間の期待スピードに一切合わせてくれません。
環境を見てから反応する”慎重派”
この種、性格的にはかなり慎重。
人間が
「もう十分でしょ?」
と思っても、クスピダータは
「うーん、まだ様子見」
って言ってきます。
正直、
「お前いつまで様子見てんだよ」
って言いたくなる瞬間、あります。
でもそれが通常運転。
本題:冬に播くか、播かないか問題
ようやく今回のテーマです。
ドルステニア・クスピダータは、冬に播くべきか?
結論から言うと、、、
環境による。以上。
……で終わらせると怒られるので、 ちゃんと説明します。
環境別に考える:LED+ヒーターあり(完全室内)
・夜温20℃以上
・LEDで10〜12時間
この条件が揃ってるなら、
播いてもいいです。
ただし、「すぐ出る」と期待しないでください。
クスピダータは、
・温度があっても
・光があっても
普通に黙ります。
これ、失敗じゃない。
植物側の様子見。

ここで 「なんで出ないの?」 って詰め始めたら、 たぶん人間側が負け。
冬の播種が成立する人の条件
この沈黙を見て、
「あー、はいはい。そういうやつね」
って言える人。
具体的には、
・腰水を安定して維持できる
・光量をブレさせない
・触らず放置できる
この3つができるなら、冬の播種は全然アリ。
むしろ冬に播いて環境を固定する って考えると、かなり合理的です。
よくある事故:温度だけ上げて光をナメる
ドルステニアは「暖かければOK」じゃない
冬の播種で一番多い事故、これ。
温度だけ上げて、光を軽視する。
ドルステニアは、
そんなに都合よくできてません。
光が足りないとどうなるか
発芽後に光が足りないと、
・間延びする
・葉が小さい
・塊根が太らない
最悪、
「出たけど消えた」
っていう、
精神的ダメージがデカいやつになります。
環境別その2:LEDなし・屋内常温
暖房有り・窓際で日が入る
・補光なし
この環境で1月に播くなら、
「出なくて正常」
これを心に刻んでください。
- 1月 → 沈黙
- 2月 → 沈黙
- 3月 → 突然出る
これ、普通にあります。 珍しくもない。
絶対にやっちゃダメなこと
毎週掘る。
掘った瞬間、
その播種は終了です。
環境別その3:屋外
1月に屋外で クスピダータを動かそうとするのは、 正直、意味がありません。
ただし「播いておく」はアリ
- 凍らない
- 雨が直接当たらない
- 春に動く前提
この条件を作れるなら、冬播種・春始動は成立します。
環境別まとめ
LED+ヒーターあり
→ 播いてOK。ただし沈黙に耐えろ
LEDなし屋内
→ 播いて待て。出なくて正常
屋外
→ 動かそうとするな。春前提
ドルステニア・クスピダータは「簡単じゃない種」を選びたい人向け
この記事を見てる人は、「簡単な種」だけ探してない人だと思います。
癖がある種を育てたい。

ドルステニア・クスピダータは、 SeedStockという玄人が集まる場所で扱うからこそ 意味がある種です。
それでも冬に播く理由って、結局なんなの?
冬って、
育てる月じゃないんですよ。
・この種は今やるか
・これは春まで寝かすか
・自分はどこまで待てる人間か
これを決める月。
ドルステニア・クスピダータは、
この「決める力」を試してくるタイプ。
芽が出ないことで、
人間の方が試される。
嫌な植物ですよね。
でも、面白い。
もし出なかったとしても気にせず「出たらラッキー」という精神を持ちましょう
出たらラッキー。出なくて普通。
これくらいの距離感じゃないと、
精神がもたない。
冬に播いて、
2月も何も起きなくて、
3月に突然出てくる。
普通にあります。
温湯処理(40℃のお湯)は本当に効果的なのか?
ここからは都市伝説的な「播種前に40℃前後のお湯に浸すといい」説についてです。
聞いたこと、ありますよね?
たぶん一回は。

(前回8月に販売した種子の苗です)
海外情報のエビデンス有り
まず、ちゃんとした話から。
海外のフォーラムや実生記録を見ると、
・Dorstenia属
・同じクワ科のFicus属
・やや種皮が硬い熱帯系植物
この辺について、
40〜45℃くらいのぬるま湯に30分〜2時間浸す
という処理が書かれている例は、実際にあります。
理由も一応ちゃんとしていて、
・種皮を柔らかくする
・水を吸いやすくする
・低温期でもスイッチが入りやすくなる
という理屈。
なのでこれ、 完全なオカルトではない。
「温湯処理をすれば必ず発芽」んなわけない
温湯処理は魔法じゃない。
・発芽率が倍になる
・沈黙が消える
・全部出る
――そんなことは、まずない。
体感としては、
「ちょっと動き出しが揃う気がする」
「完全沈黙よりはマシな気がする」
このレベル。過度な期待は禁物です。
ですよね。
温湯処理のおすすめな方法
クスピダータでやるなら、40℃前後の触ると「ちょっとあったかい」程度で30分〜1時間以内がおすすめライン。
45℃超えとか、
2時間以上とかは、
正直リスク高め。
その辺からは、
完全に「やってみた人の感覚論」ゾーン。
温湯処理で一番やっちゃいけないのが、
全部まとめてやること。
おすすめは「半分はそのまま
・半分だけ温湯処理」で、
結果を見る。
冬の播種って、
実験の季節でもあるんですよ。
全部突っ込んで全滅、
それも経験だけど、
できれば避けたいですよね。
冬にクスピダータを播かない方がいい人
管理環境が安定していない人
・置き場所が日替わり
・温度がブレる
・水やりのリズムが読めない
この状態なら、
冬播種はやらない方が正解。
クスピダータは、
不安定な環境が一番嫌い。
「早く結果が見たい」タイプの人
これも正直に言います。
・毎日チェックしたい
・変化がないと不安
・つい触っちゃう
このタイプの人。
クスピダータの冬播種は、
だいたいストレス製造機になります。
春まで待とう。
その判断、逃げじゃないです。
まとめ:ドルステニア・クスピダータと冬の付き合い方
・冬播種はアリ ・ただし沈黙前提 ・温湯処理(40℃前後)は試す価値あり・播かない判断も正解
SeedStockでこの種を選ぶ意味
沈黙を楽しめるようになると、実生は一気に楽になる
沈黙=失敗
って思っているうちは、
実生はしんどい。
沈黙=通常運転
って思えるようになると、
急に楽しくなります。
ドルステニア・クスピダータは、
その境界線にちょうどいる植物。
簡単じゃない。
でも、分かると面白い。
日本の実生レベルは世界的にも高いと言われています。
ドルステニア・クスピダータは、
ここSeedStockという実生猛者が集まる場所で扱うからこそ
価値がある種です。
是非、情報収集し現地のイメージを膨らませてチャレンジしてみてください。
発芽しましたら発芽報告をお待ちしております!!

