多肉植物は、種から育成することに3つのメリットがあります。
1.根が深く根付くため、水分や養分の吸収力が強くなる
2.同じ種類の種でも個体差が出るので、種から育てると発芽してからの楽しみも増える
3.播種をした地域の気候環境に慣れて育つので、輸入株よりも育てやすい
そのため、種から育てようとする方が増えてきているんです!
しかし、多肉植物は一般の園芸植物とは特徴が異なることから、なんとなく「発芽」「実生」が難しそうだと感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、初心者の方は土にこだわるだけで多肉植物・サボテンの発芽率を高めることが可能です。
ご自身で土を配合する場合も、割合や鉢に敷く順番さえ把握していれば、種に合わせてブレンドできます。
では、どういったポイントで土を選び、どのような土が好ましいのかなど詳しく解説していきます。
多肉植物は乾燥地帯に生息する植物なので、水分を蓄える能力が高いことが特徴です。
一般的な園芸用の土では水はけと通気性が悪く、肥料分が多すぎるため、多肉植物の発芽・実生には向きません。
種から発芽させる場合は、多肉植物に合った土選びや組み合わせを重視することで、発芽率を高めることが可能です。
現在は多肉植物・サボテン用の培養土も多数販売されているため、ご自身でのブレンドが難しい場合は既製品をメインとする方法もあります。
ただし、育苗や寄せ植え向きのものも多いため、発芽のためには培養土の上部に細かい土の層を作るなど工夫が必要です。
多肉植物を発芽、実生させるために適した土の選び方は4ポイントです。
多肉植物を種から発芽させる場合に土選びを間違えてしまうと、発芽しなかったり、発芽しても成長しない原因になります。
どのようなポイントを意識して土選びをするべきか、4つのポイントを解説します。
多肉植物の発芽に使用する土は、水はけが良く通気性が良いことがポイントです。
水はけと通気性を良くするためには、赤玉土や鹿沼土などの粒の大きい土をベースに、軽石やパーライトなどの粒の細かい土を混ぜ合わせることがおすすめです。
水はけが悪いと土の中に余分な水分が溜まって根腐れを起こし、発芽率が低下したり、発芽しても枯れてしまう原因になります。
また、通気性が悪い土だと空気が入りにくくなり、根が酸欠状態になると根の成長が阻害されてしまいます。
多肉植物を発芽させる細かい土は、種子が隠れたり鉢底に流れ落ちるのを防止する役割があります。
さらに、種の周りに空気の層を作り種の呼吸を助けるほか、発芽に必要な水分や栄養分を効率よく吸収するサポートも行ってくれます。
鉢の7〜8分目くらいの高さまで発芽用の培養土やブレンドした土を入れ、その上にさらっと細かい土を撒きましょう。
このとき細かい土の量が多すぎると通気性が悪くなってしまうため、薄く撒くようにすることがポイントです。
多肉植物の発芽時に使用する土は、肥料分が少ない方が望ましいです。
そもそも、種の発芽には肥料分は必要ありません。
発芽後に成長する過程で栄養を必要とするため、発芽から芽が育つまでの間にごく少量の肥料があれば十分です。
肥料が多いと必要以上に栄養分を吸収してしまい、徒長をしたり根腐れしてしまいます。
さらに、藻や苔が生えるなど、生長を妨げる原因になるので注意しましょう。
市販されている多肉植物・サボテン用の培養土であれば肥料が適したバランスで配合されているので、追加する必要はありません。
品種にもよりますが、ほとんどの多肉植物はph5.5〜6.5の弱酸性の土質を好みます。
土が酸性だと根の発育を促進し、病害虫の発生を抑えられます。
反対に、ph7.0以上のアルカリ性の土壌は発芽を阻害したり、根や葉を黄色く変色させてしまう恐れがあります。種によって発芽に適したphが異なるため、webや専門書で確認しましょう。
ご自身で土を配合する場合は、ph調整済みの土を選ぶと安心です。
粒が細かい土 |
粒が大きい土 |
赤玉土(細粒・小粒) |
赤玉土(中粒・大粒) |
鹿沼土(細粒・小粒) |
鹿沼土(中粒) |
軽石(小粒) |
くん炭(2〜5mm) |
パーライト |
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バーミキュライト |
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川砂 |
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多肉植物の発芽に使用する土をブレンドするのであれば、「細かい土10:2〜5mmの土7:5〜10mmの土3」の割合がおすすめです。
例えば、赤玉土:7・鹿沼土3・軽石10で培養土を作ります。
培養土を鉢に入れたら、上部に赤玉(細粒)やバーミキュライトを撒いて種が隠れたり流れることを防止すると良いでしょう。
くん炭は水はけと通気性に優れているため、多肉植物の土壌改良によく使用されます。また、保温性にも優れているため、冬場の寒さ対策にも効果的です。
ただし、入れすぎると土壌がアルカリ性に寄ってしまうため、多肉植物の種類や栽培環境に合わせて、適切な粒の大きさや量のくん炭を選ぶようにしましょう。
多肉植物の発芽のための土を用意したら、種まきの前に一手間加えることで発芽率や維持率がアップします。
また、土だけでなく多肉植物の発芽に適した鉢であるかもチェックしておきましょう。
買ったままの土には病原菌や害虫が含まれている可能性があるため、種まきをする前に土を消毒する必要があります。
最も簡単な方法は100℃程度の熱湯を回しかける方法で、種まき前に土を湿らせながら消毒できます。
このとき、熱湯をかける前に霧吹きなどで土を湿らせておくと、土が固まってしまうのを防げます。
薬剤消毒をする場合は、土に殺菌剤を混ぜ込み1週間ほど放置しましょう。
土には、大きな石やゴミなどが混じっている可能性があります。
種まきをする前に土をふるいにかけて、これらの異物を除去しておきましょう。
ふるいにかける際は、土の粒の大きさに合わせて、ふるいの目の粗さを選んでください。
また、鉢の上部に撒く土も同様にふるいにかけ、粒が小さい土を厳選しておくと安心です。
多肉植物の発芽に適した鉢は、水はけと通気性が良いように底穴があるものがおすすめです。
鉢底に鉢底石や軽石などを敷き詰めると、さらに水はけが良くなります。
具体的には、プラスチック・セラミック・テラコッタ製の鉢が水はけと通気性に優れています。
ここまでは、多肉植物の発芽・実生のための土選びや準備までを解説しました。
では、実際に種まきから発芽後までの手順を順番に説明します。
まずは多肉植物の種子を用意しましょう。
ホームセンターでも購入できますが、SEEDSTOCKでは世界から取り寄せた珍しい種子も多く取り扱っています。
種子は少量から販売しているので、まずは発芽をお試ししてみたい方にもおすすめです。
なかでもアガベ・エケベリア・アロエなどは発芽率が高く、比較的初心者の方でも育てやすい種類です。
初心者におすすめ種子
多肉植物の種は、1つの鉢に10〜20粒程度撒きます。
鉢は、発芽して成長したときに窮屈にならない大きさのものを選んでください。
ご自身で土をブレンドする場合は、それぞれをふるいにかけてしっかり混ぜておきます。
多肉植物・サボテン用の市販されている培養土の場合でも、鉢上部に撒く細かい土も用意しておきましょう。
用意した土は、先程紹介したように、熱湯や薬剤を使用して土を消毒します。
熱湯を使用する際は、しっかり温度が下がってから種を撒いてください。
鉢に入れた培養土に種をまく際は、1粒ずつ密集しないように、土表面にまいていきます。
種子が細かく取りづらい場合は、ピンセットなどを活用しましょう。
種まき方の種類は、主に3種類あります。
まき方によって苗の密度や成長の様子が変わるため、種の種類や育て方に合わせ、まいた位置がわかるような方法を選びましょう。
小さな種子の場合は、表面に乗せていくイメージでまきます。
大きな種子の場合は種子がむき出しにならないよう、薄く培養土をかけてください。
土が湿っていない場合は、種が流れないよう霧吹きなどで土の表面が湿る程度に水やりをしましょう。
種まきをした鉢は、日当たりと風通しが良い場所に置きましょう。
温度は20〜25℃程度に保つことが望ましいです。
発芽までの間は、土の表面が乾燥したら霧吹きなどで軽く水やりをしてください。
多肉植物は乾燥に強いので、水やりの頻度は控えめでOKです。
まいた種子が発芽したら、土の表面が乾いてから鉢底から水が流れ出る程度に水やりをします。
苗が2〜3回葉をつけた頃から、薄めた液体肥料を与えてください。
苗同士が密集すると成長が妨げられてしまうため、弱々しい苗や間隔が狭い苗は別の鉢に植え替えます。
苗の根が鉢底から出てくるようになったら、鉢を大きくして根鉢を崩さないように植え替えましょう。
多肉植物を発芽させるための土の選び方は、以下の4ポイントです。
土の配合が難しい場合は、ホームセンターなどで販売されている多肉植物用の培養土の上に赤玉(細粒)やバーミキュライト、パーライトなどの細かい土を撒けばOK。
一般的な園芸植物とは異なるので難しく感じてしまうかもしれませんが、ポイントを押さえればどなたでも発芽に挑戦できます。
初心者の方は、発芽率が高い種類で経験を積むこともおすすめです。
ぜひ、お気に入りの多肉植物を種から育ててみてはいかがでしょうか。
初心者におすすめ種子