突然ですが、皆さんは毎朝起きて最初に何をしますか?
顔を洗う。
歯を磨く。
スマホを見る。
二度寝する。
健康的で素晴らしいですね。
私は最近、起床してすぐに植物がカビていないか確認しています。
最悪のモーニングルーティンです。
観葉植物の種をまいたときは、もっと穏やかな日々が始まると思っていました。
小さな芽が出て、少しずつ葉っぱが増えていく。
朝日を浴びながら霧吹きをして、
「今日も元気だね」
なんて話しかける。
そういう、丁寧な暮らしの一員になれると思っていたのです。
実際に始まったのは、カビとの戦争でした。
6月1日 最初の犠牲者
この日、パキポディウムを確認すると、2つがカビていました。

カビ。
種を育て始めた人間が、最も見たくない二文字です。
ふわふわとした白いものが種の周辺に広がっている。
かわいい芽が出てくるはずの場所から、知らない毛が生えている。
お前は誰だ。
20粒あったパキポディウムは、生き残り17粒になってしまいました。
計算が合わない気もしますが、この頃の私は動揺していたので、細かいことは気にしないでください。
戦場で算数をしている場合ではありません。
とりあえず、湿度を保つためにかけていたラップを外しました。
湿度が必要だと思ってラップをかけたのに、湿度によってカビが発生した可能性がある。
良かれと思ってやったことが裏目に出る。
育児ドラマでよく見るやつです。
一方、アデニウムからは芽が出ていました。
嬉しい!
同じ容器の中で、命が失われ、命が生まれている。
感情が忙しすぎる。
植物を育てているだけなのに、1日で映画3本分くらいの情緒を消費しました。
6月2日 カビ、増員
翌朝。
恐る恐るパキポディウムを確認すると、今度は4つがカビていました。
昨日より増えている。
カビが勢力を拡大しています。
こちらは種を育てているつもりなのに、向こうは順調に領土を広げている。
この容器の中で一番元気なの、カビなのでは?
悲しい。
とにかく悲しい。
湿度を上げるためにかけていたラップは、完全に外すことにしました。
もう蒸し風呂営業は終了です。
パキポディウムの皆さんには、今後、少し乾いた空気の中で頑張っていただきます。
ただ、そんな絶望的な状況の中でも、芽が出ている子はいました。

生きている!
芽が出ている!
喜ばしいことだ!
植物を育て始めてから、語彙が王様の演説みたいになってきました。
そしてアデニウムは、たくさん芽を出していました。

ハピ。
人間は本当に嬉しいとき、語彙が2文字になります。
6月3日 アデニウム、急成長
アデニウムの芽が、ものすごい勢いで伸びています。
昨日まで「芽が出た!」と喜んでいたのに、もう明確に上を目指している。

こちらが寝ている間に、何があった?
深夜に成長会議でも開いたのか?
「我々は明日までに2センチ伸びます」
「異議なし」
そんな勢いです。
心配していたパキポディウムも、なんとか芽を伸ばし始めました。
よかった。
カビの襲撃を生き延びた者たちです。
面構えが違う。
まだ小さな芽なのに、勝手に歴戦の兵士として見ています。
そして、ウェルウィッチアにも根っこが生えてきている気配がありました。
ウェルウィッチア。
名前が強い。
植物の名前というより、海外の伝説的な魔女の名前です。
「北の森にはウェルウィッチアが住んでいる」
と言われても違和感がありません。
そんなウェルウィッチアから、白い根のようなものが伸びてきました。
パキポディウムも順調に育っている。
のか?

根っこの白いモケモケは何なのか。
可愛らしいふわふわ根っこなのか。
それとも、またカビなのか。
ひとつは完全にカビているのは把握した。
私はすでに白いもの全般を信用できなくなっています。
6月4日 ウェルウィッチア、お前もか
ここにきて、ウェルウィッチアが1つカビていました。
こんな悲しいことはない。
パキポディウムに続き、ウェルウィッチアまで。
カビは植物の種類を選びません。
多様性を重んじています。
重んじなくていい。
全員平等に襲わないでください。
一方、アデニウムには葉っぱらしき姿が見えてきました。

芽が出たと思ったら、もう葉っぱです。
仕事が早い。
私がメールの返信を先延ばしにしている間にも、アデニウムは着実に次の工程へ進んでいます。
植物に進捗管理で負けている。
6月10日 実家から帰ったら子どもが別人になっていた
しばらく実家に帰っていました。
数日間、植物たちの様子を直接確認できません。
大丈夫だろうか。
水は足りているだろうか。
カビていないだろうか。
全員が容器の中で倒れていたらどうしよう。
もはや実家にいても心は育苗容器の中です。
帰宅後、荷物を置くより先に子どもたちの様子を見に行きました。
すると、
めちゃくちゃ成長している。

誰?
数日前まで種だった皆さんですよね?
久しぶりに会った親戚の子どもが、急に敬語を使い始めたときのような衝撃です。
心配だったウェルウィッチアも、葉っぱが出てきている子が増えていました。
よかった。
ただ、生まれたばかりの葉っぱが茶色い。
あなたたち、生まれたては茶色いんだ。
知らなかった。
葉っぱは最初から緑色だと思っていました。
植物界にも新人期間があるらしい。
だんだん緑になっていくのでしょうか。
そろそろ次の段階に進む準備をしたほうがいいのかもしれません。
しかし、次の段階とは何だ。
植え替え?
ラップを完全に外す?
光を強くする?
急に保護者へ判断を委ねないでください。
こちらはまだ、カビと根っこの見分けも完璧ではありません。
6月14日 全員、帽子をかぶっている
さらに数日後。
芽を確認すると、みんな頭に種の殻をつけていました。
お帽子をかぶっている。

かわいい。
めちゃくちゃかわいい。
本人たちは必死に発芽しているだけなのに、こちらから見ると、全員がおそろいの帽子をかぶっているように見えます。
育苗容器の中で、小さな帽子パーティーが開催されています。
葉っぱも増え、全体的に大きくなってきました。
順調です。
このまま何事もなく育ってほしい。

そう思っていたところ、ウェルウィッチアの根っこが暴れていました。
根っこが容器の中で行き場を失い、曲がったり、飛び出したりしています。
どうしたらいいんだ。
ウェルウィッチアは、根を傷つけると弱ってしまうと聞きました。
繊細。
非常に繊細です。
丁寧に扱わなければならない。
ガラス細工を運ぶように。
高級ケーキを自転車で持ち帰るように。
しかし、私はそんな繊細な対応ができる人間なのでしょうか。
充電ケーブルですら、いつも絡まった状態で使っています。
そんな人間に、ウェルウィッチアの大切な根を守れるのか。
心配ですが、ひとまずこのまま様子を見ることにしました。
ごめんね。
母はまだ、何も分かっていません。
種まきは、喜びと不安が交互に殴ってくる
種をまく前は、発芽したら成功だと思っていました。
しかし実際には、
芽が出るか心配し、
カビが出て悲しみ、
芽が伸びて喜び、
葉っぱの色を心配し、
根っこが伸びすぎて困る。
心が休まる瞬間がありません。
それでも毎朝、容器をのぞいてしまいます。
昨日より少し伸びた芽。
新しく開いた葉っぱ。
まだ頭に残っている種のお帽子。
数ミリの変化で、こんなに嬉しくなるとは思いませんでした。
カビを見るたびに絶望し、芽を見るたびに復活する。
感情のジェットコースターを、植物が静かに運転しています。
現在、私にできることは、余計なことをせず、よく観察することだけです。
ウェルウィッチアの根っこが暴れていても、焦って触らない。
パキポディウムにカビが出ても、全員がダメになったと思わない。
アデニウムが急成長しても、調子に乗らない。
そして明日の朝も、起きたらまず容器を確認します。
どうか元気でいてくれ。
あと、カビだけは本当に帰ってくれ。


