こんにちは。シードストックで記事を書いているあひるちゃんです。
一粒万倍日に100粒の種をまき、億万長者を目指し始めてから約3か月が経ちました。
先に今回の結果をお伝えします。
苗は育ちました。
写真は消えました。
逆であれ。
いや、苗が消えるよりは絶対にいいのですが、ブログを書く人間としてはかなり困ります。
成長記録の記事を書こうとしているのに、成長記録がない。
ラーメン屋に入ったら、店員さんから「ラーメン以外なら全部あります」と言われたような状態です。
何をしに来たんだ、私は。
とはいえ、すべての写真が消えたわけではありません。
6月26日、7月17日、そして8月21日の写真は残っています。
この、妙に間隔の空いた3日間の記録だけで、約2か月分の成長をお伝えしていきます。
植物観察日記というより、現場に残された証拠写真から事件を追う捜査番組です。
前回までのあらすじ:億万長者、カビに襲われる
私は一粒万倍日に、5種類の種を合計100粒まきました。
- アデニウム DHA PPL
- アデニウム タイ ソコトラナム
- パキポディウム ブレビカリックス
- パキポディウム マカイエンセ
- ウェルウィッチア・ミラビリス 奇想天外
「一粒が万倍になる日なら、種をまけば億万長者になれるのでは?」
そんな、縁起のいい日に対する最悪の理解から始まった実生生活。
種代と資材代で、最初にかかった費用は25,852円でした。
億万長者になる前に、まず25,852円減りました。
話が違う。
さらに、殺菌剤の粉剤と液剤を間違え、霧吹きだと思って買ったボトルからは強めの水鉄砲が発射されました。
ようやく種をまいたら、今度はカビが発生。
私が育てたいのは珍しい植物であって、カビのコロニーではありません。
しかし、あちらは非常に意欲的でした。
毎朝起きたら、まず容器を確認。
「芽が出ている!」
「こっちはカビている!」
「この白いものは根っこ!? カビ!?」
朝から感情が忙しい。
爽やかな一日の始まりに、生と死の判定をさせないでほしい。
それでも、カビの襲撃を生き残った苗たちは少しずつ成長してくれました。
今回は、その後のお話です。
ようやく穏やかな園芸日記が始まると思っていました。
まあ、始まらなかったんですけど。
6月26日 葉っぱが大きい! おばちゃん、歓喜
種をまいてから、もうすぐ1か月。
葉っぱがかなり大きくなってきました。

えっ。
大きくなったねえ!?
この前まで、頭に種の殻をかぶっていたのに!
お帽子かぶって、かわいかったのに!
もうこんなに立派な葉っぱを出せるの!?
気づけば完全に、久しぶりに会った親戚の子どもへ話しかけるおばちゃんになっていました。
頼んでもいないのに飴を渡しそうです。
植物に飴を与えてはいけません。
そのくらいにしか思っていなかったのですが、少し前の写真と見比べると全然違いました。
葉っぱが大きくなっている。
毎日見ていると、大きな変化には気づきにくいものです。
昨日も見た。
今日も見た。
うん、葉っぱがある。
枚数も増えている。
茎も伸びている。
しっかり植物になっている。
もちろん、種の時点でも植物なのですが、見た目がようやく私の知っている植物です。
種をまく前の私は、植物を育てる喜びとは、花が咲いたり、立派な幹になったりすることだと思っていました。
違いました。
葉っぱが昨日より少し大きいだけで嬉しい。
新しい葉っぱが一枚出ただけで、ほかの人に見せたくなる。
「見て! 葉っぱ!」
見せられた側からすれば、葉っぱです。
しかし、こちらにとっては大事件です。
赤ちゃんが初めて立ったときの動画を見せる親のテンションで、葉っぱを見せています。
どの苗も、この日は順調に育っているように見えました。
カビとの戦争を終えて、ついに平和が訪れたのです。
もう白いモケモケに怯えなくていい。
朝から死亡確認をしなくていい。
ただ葉っぱを見て「かわいいね」と言うだけの、私が想像していた丁寧な園芸生活。
やっと始まった。
遅刻してきた丁寧な暮らしです。
7月17日 茎が太くなった気がする。気がするだけかもしれない
6月26日から約3週間後。
葉っぱだけでなく、茎も少し太くなってきたように見えます。

「ように見えます」と曖昧なのは、太さを測っていないからです。
定規も使っていません。
比較用の硬貨も置いていません。
毎日写真は撮っていたはずですが、その写真も後ほど消えます。
科学的根拠、ゼロ。
あるのは、育てている本人の「なんか太くなった気がする」という感想だけです。
実生苗の観察記事で、最終的に己の勘を提出することになるとは思いませんでした。
でも、以前より頼もしくなっている。
気がする。
たぶん。
きっと。
そうであってくれ。
特にアデニウムやパキポディウムは、これから株元がぷっくりとした姿に育ってくれるのが楽しみです。
最初は「立派な苗にして販売し、億万長者へ」と考えていました。
ところが今は、元気に育ってくれればそれでいいと思っています。
投資家、わずか1か月で保護者になる。
配当はいりません。
健康でいてください。
しかし、そんな気持ちで眺めていると、あるものが目に入りました。
葉先が黄色い子がいる。

黄色。
植物を育てる人間に、急に100個くらいの不安を与えてくる色です。
なぜ黄色い?
水が多い?
水が少ない?
光が強い?
光が弱い?
暑い?
寒い?
栄養が足りない?
逆に何かが多い?
寝不足?
最後のは私です。
原因を調べようと検索すると、いろいろな可能性が表示されます。
そして、検索前より怖くなります。
これは体調が悪いときにインターネットで症状を調べ、最終的にものすごく不安になる現象と同じです。
知りたいのは「この一株の、この葉先が黄色い理由」なのに、インターネットは「可能性はいろいろあります」としか言ってくれません。
急に人生相談みたいな回答をするな。
心配だから、何かしてあげたい。
水を増やす?
日当たりを変える?
何かを足す?
しかし私は、良かれと思ってかけたラップでカビを元気にした前科があります。
下手に動けば、黄色い葉先どころでは済まないかもしれません。
善意で状況を悪化させるタイプの主人公です。
そこで今回は、すぐに大きく環境を変えず、ほかの葉や新芽の様子も含めて観察することにしました。
何もしない。
ただ見る。
心配する。
また見る。
園芸を始めてから、「見守る」という名の何もできない時間が増えました。
8月21日 成長記録、失踪
そして8月21日。
そろそろ続きを記事にしようと思い、撮りためた写真を見返すことにしました。
6月26日の写真。
ある。
7月17日の写真。
ある。
その間の写真。
ない。
7月17日より後の写真。
ない。
え?
私は写真フォルダを一度閉じました。
もう一度開きました。
ない。
別のフォルダも見ました。
ない。
「最近削除した項目」も見ました。
ない。
検索欄に、それっぽい日付も入れました。
ない。
人間は、認めたくない現実に直面すると、同じ場所を何度も確認します。
冷蔵庫にプリンがないと分かっているのに、5分後にもう一度開けるのと同じです。
プリンは発生しません。
写真も発生しません。
間の写真が、全部消えていました。

植物はちゃんと育っています。
葉っぱも増えています。
茎も前よりしっかりしています。
枯れているのは特に自然なことらしい
そして、その途中経過だけがありません。
植物は育った。
記録は枯れた。
カビから苗を守ることばかり考えていたら、写真のバックアップを守れませんでした。
まさか実生に必要な道具が、
- 種
- 土
- ポット
- 殺菌剤
- クラウドストレージ
だったとは。
園芸用品売り場のどこにありますか、クラウドストレージ。
苗たちは、私の絶望など知らずに元気です。
「写真? 知りませんけど育ってます」
みたいな顔をしています。
強い。
前回、私は植物に進捗管理で負けました。
今回、データ管理でも負けました。
もう勝てるところが、二足歩行しかありません。
悔しいので、消えた期間の成長をイラストで再現しようかとも思いました。
【想像図:たぶん少しずつ大きくなる苗】
やめました。
観察日記で架空の植物を育て始めたら終わりです。
「7月30日、ついに苗が立って歩き始めました」
何でも書けてしまいます。
写真は消えましたが、苗が成長した事実まで消えたわけではありません。
カビとの戦争を生き延びた苗たちは、記録係がデータを失っている間も、黙々と成長していました。
偉すぎる。
記録係を交代したほうがいいかもしれません。
今回学んだこと:苗にも写真にもバックアップを
実生を始めたばかりの頃は、発芽さえすれば成功だと思っていました。
でも、発芽した後にも心配は続きます。
カビが出る。
根っこが暴れる。
葉先が黄色くなる。
そして、写真が消える。
最後の一つだけ、植物は一切悪くありません。
毎日見ていると気づきにくい成長も、写真を並べればよく分かります。
種だったものから芽が出て、葉っぱが開き、茎が少しずつ太くなっていく。
その記録は、あとから取り直せません。
植物へ「すみません、一度7月の大きさに戻ってもらえますか」とお願いすることもできません。
できたら怖いです。
今後は、写真を撮ったら日付ごとに整理し、別の場所にも保存しておこうと思います。
苗には水を。
写真にはバックアップを。
当たり前のことを、写真を失ってから学びました。
授業料が高い。
葉先が黄色くなった子も、引き続き様子を見ていきます。
次こそは途中の写真も残して、苗たちがどのように成長したのかを、きちんとお届けしたいです。
一粒万倍日から始まった、億万長者への道。
今のところ増えたのは、お金ではなく葉っぱです。
そして減ったのは、写真です。
収支が合わない。
それでも苗が元気なので、今回はよしとします。





