あなたにぴったりのパキポディウムはどれ?初心者から上級者までおすすめ品種を徹底解説
園芸店の多肉植物コーナーや、SNSのインテリアアカウントで、まるで異世界の植物のような、奇妙で愛らしいシルエットを目にしたことはありませんか?それが「パキポディウム」です。
パキポディウムは、キョウチクトウ科に属する塊根植物(コーデックス)の代表格。その名はギリシャ語で「太い足」を意味し、乾燥地帯で生き抜くために水分を蓄える肥大した幹が最大の特徴です。マダガスカルやアフリカを起源とするこの植物は、厳しい環境で育つからこその強靭さと、それとは裏腹な可憐な花を咲かせるギャップで、世界中の愛好家を熱狂させています。
しかし、パキポディウムの世界は非常に多才。初心者でも「放置気味で大丈夫」なほど丈夫なものから、熟練のコレクターですら「一晩の油断が命取り」と緊張する繊細な種まで存在します。今回は、あなたのライフスタイルや栽培スキルにぴったりの一鉢を見つけるための、完全ガイドをお届けします。
1. 初心者におすすめ!丈夫で育てやすい品種
「パキポディウムを育ててみたいけれど、枯らしてしまうのが怖い」という方には、日本の気候(特に多湿な夏)に適応しやすく、多少の管理ミスを笑って許してくれる、生命力に溢れた品種がおすすめです。
パキポディウム・デンシフローラム(シバ女王の玉櫛)

出典元:Pachytcedium
人気の理由: 日本で古くから親しまれている「和名:シバ女王の玉櫛」という高貴な名前を持つ品種です。最大の魅力は、そのワイルドなトゲ。銀褐色の肌に鋭いトゲが密集し、その頂点から鮮やかな緑の葉を茂らせる姿は、まさに塊根植物の王道です。春から初夏にかけて咲く鮮やかな黄色の花は非常に美しく、開花を楽しみに育てるファンも多いです。
難易度:★☆☆☆☆(極めて容易)
栽培のコツ: パキポディウムの中でも屈指の強健さを持ちます。日光を非常に好みますが、少々の水切れで枯れることはまずありません。逆に、成長期には水を欲しがる傾向があるため、メリハリのある管理でぐんぐんと成長を実感できます。「まずはこの1鉢から」と言われる、最高の入門種です。
パキポディウム・ラメリー(マダガスカルパーム)

出典元:さすらいノラ猫の足跡
人気の理由: 園芸店だけでなく、インテリアショップでも「マダガスカルパーム」の名で見かけることが多い人気種です。パキポディウムの中では大型化する種で、柱状に伸びる幹とヤシの木のような葉の茂り方が、部屋に置くだけで南国情緒を演出してくれます。
難易度:★☆☆☆☆(極めて容易)
栽培のコツ: とにかく成長が早く、1年で数センチ単位で大きくなる姿は、育てている充実感を与えてくれます。寒さにも比較的強く、室内であれば冬越しもスムーズです。あまりに成長が早いため、数年おきの植え替えが必要になりますが、その分、初心者でも失敗しにくい「鉄壁の強さ」を持っています。
パキポディウム・恵比寿大黒(えびすだいこく)

出典元:ベランダ砂漠園芸
人気の理由: 「デンシフローラム」と、後に紹介する難関種「ブレビカウレ(恵比寿笑い)」を掛け合わせて誕生した日本生まれのハイブリッド品種です。両親の良いとこ取りをしており、ブレビカウレの「ポテッとした丸いフォルム」と、デンシフローラムの「育てやすさ」を兼ね備えています。その縁起の良い名前から、贈り物としても非常に人気が高いです。
難易度:★★☆☆☆(容易〜普通)
栽培のコツ: 非常に丈夫ですが、ブレビカウレの血を引いているため、あまり水をやりすぎて日光が足りないと、縦にひょろりと伸びる「徒長(とちょう)」を起こしやすい性質があります。丸く可愛らしい形を維持するために、「直射日光」と「控えめな水やり」を意識するのが、この子を美しく育てる秘訣です。
パキポディウム・エブルネウム

出典元:ゆるゆるこどおば植物誌
人気の理由: 象牙色(アイボリー)の滑らかな質感を持つ肌と、上品な「白い花」が最大の特徴です。パキポディウムの花の多くは黄色ですが、エブルネウムの気品ある白花はコレクターの間でも一目置かれています。また、成長しても比較的コンパクトに収まるため、日本の住宅事情(マンションのベランダや窓際など)に非常にマッチしています。
難易度:★★☆☆☆(普通)
栽培のコツ: 寒さに比較的強いとされますが、幼苗(小さいうち)は環境の変化に少し敏感です。ある程度の大きさ(ゴルフボール大以上)に育った株を選べば、管理は非常に楽になります。春から秋にかけては戸外の直射日光下で管理し、風通しを確保することで、美しい象牙色の肌が維持されます。
2. 上級者・コレクターにおすすめ!希少で奥深い品種
栽培に慣れ、パキポディウムの「呼吸」がわかるようになってきたら、次はより個性的で、管理に技術を要する品種に挑戦してみましょう。これらは市場価値も高く、手に入れる喜びもひとしおです。
パキポディウム・ブレビカウレ(恵比寿笑い)

出典元:すごいグリーン
人気の理由: パキポディウムの常識を覆す、横に広がる扁平なフォルムが特徴です。まるで地面に張り付く生姜や岩のような姿から、可憐な黄色い花を咲かせる様子は「マダガスカルの宝石」と称えられます。この「恵比寿様が笑っているような」独特の造形美に、多くの愛好家が最終的に辿り着きます。
難易度:★★★★☆(難しい)
栽培のコツ: 最大の敵は「蒸れ」です。マダガスカルの高地に自生しているため、高温多湿な日本の夏を苦手とします。特に水やり後の鉢内が蒸れると、一気に根腐れを起こし、数日で溶けるように枯れてしまうことも。排水性の極めて高い土を使い、常に風を当てるなど、一歩踏み込んだ環境作りが求められます。
パキポディウム・ウィンゾリー

出典元:すごいグリーン
人気の理由: 赤い花を咲かせるパキポディウムは非常に珍しく、その中でもウィンゾリーは「最高峰」の希少種として君臨しています。ツヤのある赤褐色の肌と、太く力強い枝、そして南国の太陽のような情熱的な赤い花。その圧倒的な存在感から、コレクターの間ではオークションで高値で取引されることも珍しくありません。
難易度:★★★★☆(難しい)
栽培のコツ: 「寒さ」に極端に弱く、15℃を下回る環境では成長が止まるだけでなく、株が弱ってしまいます。日本の冬を越すには、植物専用のヒーターや温室が必須と言っても過言ではありません。また、種子の発芽率も低く、実生(種から育てる)の難易度も高いため、まさに上級者の腕の見せ所となる品種です。
パキポディウム・グラキリス(象牙宮)

出典元:植物日誌
人気の理由: 現代の塊根植物ブームのアイコン的存在です。「まん丸な太い幹」からひょろりと伸びた数本の枝。そのアンバランスで愛嬌のある姿は、一度見たら忘れられません。株ごとに形が全く異なり、自分の理想の「丸さ」を追求する楽しみがあります。
難易度:★★★☆☆(普通〜やや難しい)
栽培のコツ: 生存させること自体はそれほど難しくありませんが、「あの美しい丸い形を維持する」のが至難の業です。光量が少しでも足りないと、丸い幹を維持できずに枝が細長く伸びてしまい、本来の美しさが損なわれます。強力な植物育成LEDライトを併用したり、真夏でも遮光を最低限に抑えたりと、光をコントロールする高いスキルが試されます。
パキポディウム・バロニー

出典元:つばさブログ
人気の理由: 前述したウィンゾリーの基本種であり、こちらも非常に珍しい赤い花を咲かせます。ウィンゾリーよりも大型になりやすく、成長した姿はまるで恐竜の足のような迫力があります。野生味溢れるワイルドな外見を好むコレクターから絶大な支持を得ていますが、流通量は極めて少ないレア種です。
難易度:★★★★☆(難しい)
栽培のコツ: ウィンゾリー同様、高温を好み、低温を嫌います。また、成長に伴い根を大きく広げるため、大きめの鉢での管理が必要ですが、鉢が大きくなると今度は土が乾きにくくなるというジレンマを抱えます。水やりのタイミングを見極めるプロの観察眼と、広い栽培スペースを持つ方におすすめの、まさに「やりがい」のある品種です。
パキポディウムを元気に育てるポイント!
パキポディウムを元気に育てる3つのポイントをまとめました!
1:日光
太陽こそが最大の栄養。1年を通して一番日当たりの良い場所へ。
2:温度
最低10℃以上をキープ。冬は室内管理が基本。
3:水やり
「土が乾いてからたっぷり」を徹底。冬は断水気味に。
まとめ
初心者なら デンシフローラム・ラメリー。
少し慣れたら グラキリス・エブルネウム。
そしていつか ブレビカウレ・ウィンゾリー・バロニーへ。
彼らは成長が遅い。しかし確実に、少しずつ太る。
急がない。焦らない。でも確実に前へ進む。
パキポディウムは、“育てる”というより“共に歳を重ねる”植物。
あなたの暮らしの中で、どの一鉢と時間を刻みますか?

